[読書] 日本の国家破産に備える 資産防衛マニュアル 橘玲

内容紹介

アベノミクスはその端緒となるのか!?
大胆な金融緩和→国債価格の下落で金利上昇→円安とインフレが進行→国家債務の膨張→財政破綻(国家破産)…。
そう遠くない未来に起きるかもしれない日本の”最悪のシナリオ”。
その時、私たちはどうなってしまうのか?
どうやって資産を生活を守っていくべきなのか?
不確実な未来に対処するため、すべての日本人に向けて書かれた全く新しい資産防衛の処方箋。
恐れる必要はない! しかし、備える必要はある!
作家・橘玲が贈る、生き残りのための資産運用法!

以前読んでいたのですが、最近になってそういえば国家破産に至るフェーズとその対策が書かれていたなと思い返し、再度読んでみました。9年前に書かれた本ですが、今まさに国家破産への道を歩んでいることを確信しました。そして対策を行わないと大変なことになることも・・

日本の未来は次の3つのどれか

  1. 楽観シナリオ … アベノミクスが成功して高度経済成長がふたたび始まる
  2. 悲観シナリオ … 金融緩和は効果がなく、円高によるデフレ不況がこれからも続く
  3. 破滅シナリオ … 国債価格の暴落(金利の急騰)と高インフレで財政は破綻し、大規模な金融危機が起きて日本経済は大混乱に陥る

この著書から9年経った今をみると楽観シナリオ、悲観シナリオの線はなさそうです。
現状ではこの破滅シナリオが最も近い状況になっています。

破滅シナリオのステージ

破滅シナリオになったとしても次の順番で進行するようです。

  • 第1ステージ … 国債価格が下落して金利が上昇する
  • 第2ステージ … 円安とインフレが進行し、国家債務の膨張が止まらなくなる
  • 最終ステージ(国家破産) … 日本政府が国債のデフォルトを宣告し、IMFの管理下に入る

現状では、国債価格は下落しておりませんが(日銀が無理やり買い支えている)、円安とインフレが進行しており、第2ステージに位置しています

いきなり国家破産が起こることはなく、必ず順番に進行していき、あらゆる経済的リスクは金融市場でヘッジする(保険をかける)ことが可能です。

普通預金こそが最強の資産運用

①楽観シナリオ ②悲観シナリオ ③破滅シナリオの第1ステージまでは普通預金こそが最強の資産運用としています。

80年代のバブル崩壊で4万円近かった日経平均株価は7,000円割れまで5分の1以下に下落しました。地価も2005年にはバブル最盛期の4分の1まで下落し、80年代はじめの水準まで戻ってからはほとんど上昇していません。「失われた20年」で最も成功した投資家が、一切のリスクを取らずに金融資産の全額を預金していた”臆病者”であったことは間違いありません。

しかし、破滅シナリオの第2ステージ以降になると普通預金だけでは資産を守ることができません。その場合も、3つの金融商品だけで十分対応可能です。

破滅シナリオの第2ステージ

第2ステージ … 円安とインフレが進行し、国家債務の膨張が止まらなくなる

インフレと円安によって円資産の価値が失われ、日本人の資産ポートフォリオの中核(不動産、年金、円預金)が大きく毀損する。

3つの金融商品で保険をかける

  1. 国債ベアファンド
    国債価格の下落から利益を得る金融商品
    国債価格に対して3~5倍のレバレッジがかかっている
  2. 外貨預金
    円安による資産の価値の減少に保険をかけるとしたら、為替コストの安い米ドルを保有するのが第一選択肢
    失業や不況が続くスタグフレーションでは、地価も株価も下落することになります
  3. 物価連動国債ファンド
    物価連動国債は個人がインフレに対抗する強力な武器になる
    積立てしているeMAXISシリーズに「国内物価連動国債インデックス」があるようです 

破滅シナリオの最終ステージ

最終ステージ(国家破産) … 日本政府が国債のデフォルトを宣告し、IMFの管理下に入る

  1. 海外銀行の外貨預金
    日本国の法が及ばない海外の金融機関に資産を移転する
    海外で保有することで、財政破綻と預金封鎖を同時にヘッジできる
  2. 日本国債ベアETF
    国債価格の下落で株価が上昇するだけでなく円安で為替差益が得られる
    ニューヨークに上場されていたJGBS、JGBDは2018年に上場廃止になっている

巨額の借金を清算する方法

1400兆円(当時)の国民の金融資産を差し押さえ、1000兆円の借金と相殺して、財政赤字を帳消しにすることです。これが「預金封鎖」や「新円切り替え」と呼ばれている究極の財政措置です。

金融資産より大事な人的資本

30代、40代の人たちにとっての最大の国家破産対策とは、
どのような環境になっても仕事をしてお金を稼ぐことのできる人的資本をつくっていくことです。

日本を襲う3つの経済的リスク

日本国の財政が破綻すると経済的には以下の3つのことが起こり、それ以外のことは起こりません。

  1. 金利の上昇
  2. 円安
  3. インフレ

金利の上昇

財政破綻は、国債の暴落による金利の上昇をきっかけに始まります。
財政危機は国債価格(金利)を見ればわかるため、現在日銀は必死に金利上昇を抑え込もうとしています。

金利の上昇により、
変動金利で住宅ローンを組んでいると返済ができなくなり、自己破産と不動産の競売が急増することになる。短期の借入れで資金繰りをしている企業も同じです。

円安

対外純資産が180兆円以上あるため、金利が上昇すれば海外資産を売却して円に戻す動きが広がるため、海外投資家が日本国債に投資し、円高につながる可能性もあります。つまり、円安一辺倒でいると危険ということです。

インフレ

インフレというのは国家にとって税金の一種であり、歴史上、巨額の財政赤字はほとんどが「インフレ税」によって清算されてきた。

インフレの最大の被害者は年金だけで生活している人たちで、ホームレスが激増する可能性があります。
ハイパーインフレとは、国民を犠牲にして国家が借金を清算することです。それが今、密かに進行中だと思っています。

マイホームの購入はリスク

マイホームの購入は、特定の不動産物件にレバレッジをかけて全資産を投じるハイリスクな投資であることを理解しておく。そのため破滅シナリオが現実化すると、変動金利で住宅ローンを組んでいると資産の全てを失う可能性があるため注意が必要です。

危険な変動金利ローン

金利の上昇局面では、市場に連動する変動金利が不利で、長期固定金利の借入れが有利になります。そのため、超長期の固定金利は素晴らしい「資産運用」になります。

サラリーマン(勤労者)にとっての最大のリスクは、不景気によるリストラや倒産で労働市場から退出させられることです。

経済的リスクを奇跡に変える

FXでレバレッジをかける

FXの為替手数料は1ドル2~3銭で、大手銀行の外貨預金はもちろんネット銀行に比べても格安です。このメリットを使って、FXで外貨預金をする。外貨を無制限に保有することができるので、レバレッジ1倍の外貨購入は為替手数料が格安の外貨預金と同じです。

財政破綻で一攫千金はほぼ不可能

日本の財政が破綻すれば、FXで一攫千金狙いという人がたくさんいますが、実際にはそんなにうまくいかない。なぜなら、円の金利が急上昇するとともにFXで多額のスワップ金利(1日数万円とか)の支払いが発生するからです。

国家破産を期待して高いレバレッジをかけて米ドルを買った投資家の多くは、スワップ金利の重い負担に苦しみ、わずかな円高によって自分自身が先に破産してしまうでしょうとのこと。

読み返してみて

随分昔の本ですが、読み返してみて気づきの多い著書でした。まさに今読んでおくべき本なのではないかと思いました。個人的には物価連動国債に興味を持ちました。

今の状況で国家破産の事態になるとおそらく1カ国だけでなく、世界同時多発的に起こると予想されます。そのあとグレートリセットされてデジタル通貨体制に移行しそうです。

そのような事態になった場合、被害を受けるのはいつも庶民と相場は決まっています。
ただ庶民にもできることはあります。著書を参考にしながら家族を守るため、戦略を考えていきたいと思います。

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